D.A.N. 『D.A.N.』を聴いた
嫁が自分が作ったおにぎらずについて「みてーおにぎらず作った。かわいくない?」と言っていて、感性の暴走を目の当たりにした。
世の中にはかわいいおにぎらずとかわいくないおにぎらずがあるのだ。かわいくないおにぎらずは恐らくおにぎらずになりきれなかったおにぎらず、すなわちおにぎれずでしかない。
子が保育園に通い始めた。絶対にコブラ組になりたい
連休は子がオーバー40℃の発熱をメイクしてどこにも行けなかったのだが、ベランダで観葉植物の植え替えや株分けをしたり部屋を少しづつ掃除できたりでかなり満足度は高かった。
ただし一日中家にいると朝に見た「おかあさんといっしょ」並びにその付帯番組を夕方に再び見ることになり、これがなかなか堪える。
おかあさんといっしょはその実、スタジオに集められた子ども達がうたのおにいさん/おねえさんに誘導/煽動され、ひたすらに踊りながら歌を歌い、更にその合間合間に既存の楽曲映像を継ぎ接ぎして放送時間を満たす非常に合理的な構造だ。
子はめまぐるしく展開し続ける極彩色の画面と音に目と耳を奪われて動きを止め、親は一心不乱にスマホをチェックする。「おかあさんといっしょ」とは実際には子が「おかあさんからはなれる」状況をつくりあげる画期的なシステムに他ならない。
そんな目で眺めていると、その次から次へ矢継ぎ早に襲いかかる童話の奔流、1日に2度やってくる童話の波状攻撃に我が子が耐えきれず音楽が嫌いになったらどうしよう、と心配になる。
D.A.N. 『D.A.N.』を聴いた
30歳を超えて、自分よりかなり若い音楽を気に入ることについてどこか気持ちの折り合いがつかないところがある。
御多分に洩れずこのD.A.N.、若くてオシャレな雰囲気がビシバシ出てるSuchmosやYkikibeatあたりと抱き合わせで雑誌で目にしていて「22とか3とかの若いお兄ちゃんがやってるちょっと憂いた感じのバンド…しゃらくせえ」くらいの認識だったのだがどハマりしている。
m1『Zidane』 クールなイメージとは不釣合いな野蛮なベースがすごくクセになる。
油断していると終盤の一瞬のブレイクで耳を引っぱたかれて、唐突なフェイドアウトがまるでiPhoneとイヤフォンで音楽を聴いてたら電話がかかってきた時のような無邪気な緊張感を与えられる。(これ確信的にやってたら天才としか思えない)
全編通して参加しているのかわからないがサポートメンバーの小林うてなさんもめちゃくちゃかっこいい。俺は触ったことはないのだけれどあの「きっとサラッとして硬いけれど微妙に弾力のありそうな」パッドをスティックで叩くやつもスチールパンも大好きなんだ。
PVがオオクボリュウってところもしっかり好みのツボを突かれてしまった
m2『Ghana』 トロピカルな雰囲気と2:40のシンガロングがライブで確実に盛り上がる。この曲に限らず全編通じてどこか肌触りは冷たいけれどライブでは絶対に踊れる予感でいっぱい。ライジングサンの夜に気温が下がってきて汗はかくけれどしっとり肌は冷たい、みたいな感じで頼む…お願い…
ところでこの音源は札幌に向かう電車内でAppleMusicにあるのを見つけて聴いて「おっ」となってタワレコでこのCDを買い、帰りの電車内でまたAppleMusicを使ってこのアルバムを聴いていたのだけれど、当然自分の消費行為に違和感はあった。しかしなんで「音源を買う」というこれ以上無い程真っ当に音楽を楽しもうとしている俺が変なことをしている感覚を覚えなければならないんだ?ふざけるなよ、という気持ちになった。
何はともあれ「父ちゃんが気持ち良く静かに揺れられる」という意味でこの夏は休日の昼間に息子を抱きながらの子守唄としても大活躍することが決定だ。
ENJOY MUSIC CLUB 『FOREVER』を聴いた
俺は女の人が髪を切ったことにすぐ気がつくタイプでは無いのだけれど、たまたま気がついて、飲み会で あれ、髪切りました?と話しかけたら少し嬉しそうに「モテるでしょ」と言われたので、「ちょろいゼ」と思いました。
右端のやつはよく見ると垂れ乳
どの家庭でもそうだと思うけどこのテのガンダム(RX-78-2)はどうしても増えてしまうよね。僕は一瞬でどれがどのバージョンのRX-78-2か見分けがつきます。モテるので。
今も鼻呼吸ができないのだけれど、先日急に風邪をひいて仕事を休み、近くの内科に駆け込んだ。予防接種はしていたがインフルエンザの線もはっきりさせたいと思いつつ。
受付けで症状を説明した30秒後には別室に隔離、ベッドに横になり、タオルケットまで頂ける丁寧な扱いを受けた。あまりにスムーズな流れで検査をするか訊かれた覚えがないのだけれど、いつの間にか鼻に長い綿棒を突っ込まれていた。いれられる前に「結構奥までイキます」と宣言された。
結果を告げられぬまま、椅子が並ぶ一般の待合に戻され、「ああ、俺は違ったんだ、選ばれなかったんだ…」と心に風が吹いた。ただの風邪だった。
帰り際に、ユニクロのカシャカシャした暖かいズボンとユニクロのダウンみたいな格好のめちゃくちゃ具合悪そうにした青年が、受付けで「熱、39度以上・咳と鼻水が止まらないですインフルエンザだと思います検査できますか」と早口で言っていてた。
彼の検査結果がとても気になった。
・ENJOY MUSIC CLUB 『FOREVER』を聴いた
ENJOY MUSIC CLUBのことは全く知らず、例のごとくTWITTERで名前をよく見ていてタワレコで試聴して買う、という流れだった。
ENJOY MUSIC CLUB(以下EMC)は東京高円寺のアパート発の、見た目はおよそ華のない、EXILEの対極に近い男性三人組ラップグループ。多分。
試聴してすぐシェリル・リンの大ネタと「E!M!C!」コーラスの小気味よさに胸をつかまれてしまい、手に取った。
CD収録のバージョンはこれよりもずっとしっかりしたミックス
曲の雰囲気はあからさまなスチャダラパーフォロワーで、個人的にはトラックがすごく好き。耳が肥えていないので「この曲のここはあの大ネタのサンプリングだ!」とかはわからないけれど、絶妙な既聴感が気持ち良い。じゃあ大ネタのサンプリングばかりなのかと思いきや歌詞カードを見ると、ファンクバンド「思い出野郎Aチーム」の文字がそこかしこにあり、すごく納得してしまった。
ラップについては最初は「なるほど半径5mのゆるい日常系ね…」くらいに思っていたけれど、何周聞いても歌詞の内容よりもラップの拙さばかりが気になってしまって好きになれなかった。もとよりラップに関しては雰囲気で持ってくゆるいものよりはバリッとした方が好みだというのもあったが。(EMCと同時に買ったのがKOHHと田我流だったのも良くなかったかもしれない)
思い出野郎Aチームの他にも中川理沙(ザ・なつやすみバンド)・PR0P0SE・Homecomings他多数のゲストはある意味豪華で、特にゆるふわなラップに飽きてきた頃突然中川さんの激素敵ヴォーカルが聴こえてくるともうそれまでの文句が帳消しになるくらいだ。(m8 ナイトランデヴー)
個人的にm11のBIG LOVEというあからさまに結婚式でかけるための曲が好きだった。
めでたい言葉だけ
夏になったら天気のいい日に窓を全開でアイスを食べながら聴きたいアルバムでした。
ビカクシダの新入り・草の棚増設(写真多め)
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STILLICHIMIYA『STILLICHIMIYAの流れ』を聴いた
「ポップカルチャーを軽んずる者サブカルチャーを語るべからず」という言葉ともに友人から譲り受けた王道のコスチュームを、ついに身につけた。
心なしか嫌そうな顔をしている
前の投稿にも書いたが、わが家は漫画ワンピースが嫌いだ。
他にもアンパンマンはあまり見せたくない、SEKAI NO OWARIはバカ、パズドラ等の人気のゲームはやらない(もしその手のアプリを始めようものなら嫁から全力でバカにされるし、逆も然り。完全な相互監視システム)という、流行り物や世間的に人気のあるコンテンツを嘲笑い、バカにし差別化することで自分たちが特別だと思い込んでいる類の低俗な人間だ。
生存率は高いがチームの勝利には一切貢献しない、ドッヂボールで球を受けずにひたすら避けるように斜に構えることでメインストリームのセンスを受け流す。冒頭のセリフはそんな凝り固まった感性の家庭で育つ息子を心配しての友人の言葉だった。
ハロウィンの仮装した若者の集団を見たときに俺が感じる「ウワァ…」という思いには、イベントをちゃんと正面から楽しむ人への羨望とすこしの恐怖が混じっている。その人達は自分にはできないことをやっているから。
いざそうなった時の覚悟はまだできていないけれど、息子には俺のようにびくびくせずに仮装して正面からしっかりウェイウェイできる度量のある人間に育って欲しいという気持ちが芽生えてきている。
・STILLICHIMIYA『STILLICHIMIYAの流れ』を聴いた
前作『生でどう』から約一年、オリジナルのフルアルバムではないものの、STILLICHIMIYAの新しい音源が出た。
STILLICHIMIYAの過去曲や未発表曲、メンバーソロ曲をDJKENSEIが繋いだミックスCD。
スタジオ石ファンとしてはYOUTUBEに新しい動画がないのが残念だけれど、みちみちに詰まった23曲、部屋でかけててもぎりぎり胸焼けするくらいに濃厚な一枚で、買って良かった。
イントロ後のいきなりパンチの効いたm2、MMMのソロ『夢で逢いましょう』
スモーキーと言うか百姓っぽさが最高のm15、BIGBENソロ『いったりきたりBLUES』
曲名とは裏腹にスペーシーなインストm18、『バーミアン』が好きだった。
シリアスな曲からピコピコしたビートまで幅広い曲がある中で、随所に配されたBIGBENの素朴というか不思議な安定感のあるソロ曲が全体のバランスをまとめている気がした。
右下がBIGBEN。牧草ロールのような安心感。あなたの友達にも一人はこんな男がいないだろうか?
11/4に発売する、田我流とそのバンドプロジェクト『田我流とカイザーソゼ』も楽しみだ。
stillichimiyaの流れ Mixed by DJ KENSEI
- アーティスト: stillichimiya
- 出版社/メーカー: Mary Joy Recordings
- 発売日: 2015/07/15
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吉田ヨウヘイgroup『paradise lost, it begins』を聴いた
他の地域ではわからないけれど、夕方テレビで「金田一少年の事件簿」の後に「名探偵コナン」がたて続けに放送されていた。日本の人口減の原因の一端を垣間見みた。
真実はいつもひとつ!学生服はトンボ!理屈じゃない!
ところで俺は漫画ワンピースを楽しく読ませていただいている。ジャンプで。毎週。立ち読みで。ワンピースが休載の時にはがっかりする。一方でワンピースの「仲間!」みたいなノリを現実に持ち出すセンスや、漫画の商品を部屋や車に置くセンスが死ぬほど嫌いだ。
ものすごく壮大な物語なので、息子が自我を持って動き回る頃にもまだまだワンピースを求めてルフィは大海原を冒険しているだろう。そしておそらく日曜朝のアニメを見て息子も興味を持つだろう。むしろ興味を持って欲しい。ワンピースよりサンデーモーニングを見たがる子供の方が怖い。
しかし彼がワンピースごっこを始めたときに俺はどんな対応をするのか。こちらのスタンスが問われる。ちなみに嫁の方がワンピースをよりはっきり嫌っている。
「海賊王に、俺はなる!」と息子が宣言した瞬間から子育ての第二ステージが始まる。
・吉田ヨウヘイgroup『paradise lost, it begins』を聴いた
息子が生まれた日に発売した吉田ヨウヘイgroup(YYG)の三枚目。
その頃から今もよく聴いていて、かなり好きだった前作以上の傑作だと思っている。
55秒あたりの「チャカポコチャカポコ」が好き
前作より歪めたギターが前に出て来ている印象があって、BATTLESを思い出させるようなフレーズのループがかっこいい。
楽器の数も多く、素人耳にそれぞれ変わったことをしているような気がするんだけどバンド然とまとまっているのは吉田さんのリーダーとしての手腕なのだろう。
ただボーカルについてはちょっとギリギリ…単純に上手けりゃいいのかというと全体を考えると合わないのはわかる。千鳥の漫才で言う「クセがすごい」。
男性陣の前髪が長い
自分が普通に思う考えが
大分ズレてきてると分かるから
僕と一緒にいても違和感のない
君のことが心配になるんだよ
でもあなたには間違って欲しくはない
ただ辛いことがあまり起きないといい
でもあなたには間違って欲しくはない
ただ辛いことが何も起きないといい
リリース時には発売時期も近いceroと抱き合わせで名前が挙がることが多かったが 、ceroが街の情景をドライに切り取る一方で、YYGは街に住む人間についてよりクローズアップした描写をしていると思うのだけれど、上述の部分なんて歌詞を読みながら聴いてこれがメロディーにのってるのとんでもないなと鳥肌が立った。
ところでファゴットの女性が脱退したそうで残念。以前弟がYYGのライブの前座をした時に打ち上げに紛れ込ませてもらって一言二言話しただけだけれど、すごくかわいい酒乱だった。またステージで見たかった。吉田ヨウヘイgroup、来年ライジングサンに来てくれないかなー。
ceroのObsure Rideと一緒で、何年後かに聴くと息子が産まれた時を思い出すことになりそうな最高のアルバムだった。
ROBERT GLASPER EXPERIMENT『BLACK RADIO』『BLACK RADIO 2』を聴いた
よく散歩する近所の観光通りに「店主が足し算しかできない」タイプの飲食店がある。
バカっぽく突き抜けた姿が結構好きなんだけれど、1000円もらってもここで食事は取りたくない。バカになりそうだから。
3ヶ月ころの赤子を抱きながら通りかかると店先のおっさんに「ちっちゃいハンバーグもあるよー!」と声をかけられた。まだ食べれないよ。
「足し算しかできない」タイプのお店は他にもたくさんあって、例えば車用品店『オートバックス』などがそう。入る瞬間は自分が少しバカになってしまう様な気がして気持ちが悪くなるのだけれど、すぐに慣れる。慣れたところで匂いのキツすぎる芳香剤コーナーで我に返り、イソイソと退店する。
・ROBERT GLASPER EXPERIMENT『BLACK RADIO』『BLACK RADIO 2』を聴いた
タワレコで安くなっていたのでつい二枚ともポンポンと手にとってしまった。
ロバートグラスパーさんとこはこんなにも親切に今のリスナーにもわかりやすくノリやすく腕を広げて迎えいれようとしてくれているのに、ジャスはやっぱり少し難しくて、残念ながらあまり部屋で聴いていない。
息子が泣いたら抱きながら一緒に口ずさめるようなポップスをかけるし、おむつを替えたりうつぶせにした息子をローアングルで眺めてかわいさにとろける際にこんなオシャレな音楽は似合わないからだ。
けれど今動画を漁っていたらほんとにいつか生で見てみたいなー。緊張感とノリでワキ汗がしぼれるくらいになりそうだ。ジャズのマナーみたいなのがわかればもっと面白いんだろうな…ブルージャイアントを読んで勉強します。
みんな大好き SMELLS LIKE TEEN SPIRIT もこんなにブラックに。かっこいー。
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トリプルファイヤー『エピタフ』を聴いた
先日うちで友達と飲んでるときに嫁が話していた「
「
今日は寝るのが一番よかったいつの間にか頑張りすぎてたんだと思う体のことは体が一番知ってる 疲れがきれいに取れた眠い時に無理矢理頑張ったってたかが知れてるそれだったら今日はコンディションの回復に努めたほうが賢かったし結果的にそうなった 全てがうまくいってる
(m07『今日は寝るのが一番良かった』)
携帯のゲームしかやってないから
俺 携帯のゲームしかやってないから
おまえがなんかしてた間
携帯のゲームしかやってないから
そこんとこ考慮してくんないと
勝てるわけない
(m08『ゲームしかやってないから』)
音源を貼れないのがくやしいが、m07『今日は寝るのが一番良かった』の緊張感のあるビートにのせてボーカル吉田がぶつぶつと言い訳をして自己を肯定する感じや、m08『ゲームしかやってないから』の上目線で強めに開き直る吉田の後ろで流れる陽気な演奏が絶妙。
一歩間違うと万人の共感を狙ったいわゆる「あるある」ネタの漫談みたくなりそうなのに、しっかりかっこいいと思って聴けるのは、大まじめ本気で作り込まれたビートとバンドの演奏によるところ。あとはギリでイカれているように見えるルックスも一役かっているだろう。
1stアルバムから聴いているけどm11『こだわる男』で初めて吉田がまともにメロディを歌っているのが新鮮だった。プレイリストをシャッフルで流して、くるりだと思ったらトリプルファイヤーだった。